ヒアルロン酸と糖鎖
ヒアルロン酸の特性
ヒアルロン酸は保水性の高い長い糖鎖(単糖が100個~10,000個)グリコサミノグリカンつまりムコ多糖の典型的な一種です。具体的にはN-アセチルグルコサミンとグルクロン酸の二糖単位が繰り返し結合した構造をしています。
ヒアルロン酸は、長い糖鎖と糖鎖の隙間に水分子がしっかり入り込み、水に溶かすとネバネバ(ラテン語のムコ)した状態になり多量の水を保持します(1グラムで6リットル)。
生体での役割
陸上で生活する生物は生体が常に空気中に晒されていますので乾燥する状況にあります。そこで、ヒアルロン酸は細胞の防乾服として機能し肌のハリを保ったりして乾燥に対抗してくれています。
人間の場合、ヒアルロン酸は細胞外マトリックスに普遍的に存在し、皮膚、関節、目の硝子体などに特に多く分布しています。例えば軟骨や滑膜の関節組織の滑りをよくしたり関節へのショックを吸収するなどの役割を果たしています。また、眼球の大部分を占め透明なゲル状の硝子体では緩衝作用や組織形状を維持しています。
加齢と共に激減
硝子体では、ヒアルロン酸を合成する細胞もありますが、ヒアルロン酸の分解スピードは速く半減期は2週間前後ですので加齢と共に合成スピードが分解スピードに追いつかなくなり80歳前後になると若い頃の20%前後まで皮膚のヒアルロン酸の量は減少するともいわれています。
外部補給による利用
ヒアルロン酸は、身近な利用法としては、肌の潤いを保つという目的で、化粧品や医薬部外品で広く利用されています。
加齢に伴なう関節の軟骨が変形する疾患に利用されたり、細胞や組織を保つ粘弾性を利用して白内障の手術や全層角膜移植手術の補助材などに使用されています。そこで、糖に由来する医薬品ではヒアルロン酸が最も多く医療現場で利用されています。一部ではアレルギー誘発物質との指摘もあります。