高血圧と糖鎖
血圧は、体が活動モードか休息モードあるいは心の状況変化などによって常に変動しています。そしてその変動を調整しているのが自律神経(交感神経と副交感神経)です。血圧を上昇させるのが交感神経、血圧を下降させるのが副交感神経の役割です。
高血圧を招くメカニズム
高血圧は副腎異常、腎臓疾患など血圧を上昇させる原因が判明している二次性高血圧と原因が特定できない本態性高血圧に大別されます。高血圧の90%以上は後者のタイプです。
交感神経が優位になると心拍出量が増え、血管が収縮して抵抗が大きくなり血圧が上昇します。一方、副交感神経が優位になると逆に心拍出量が減って、血管が膨張して抵抗が小さくなり血圧が低下します。
本態性高血圧は原因が不明とされていますが交感神経を優位にして血圧を上げている要因として「1.働きすぎ 2.悩みすぎ 3.薬の飲みすぎ」の3大ストレスが指摘されています。
降圧剤投与による危ない2つの徴候
1.降圧剤を投与してもなかなか血圧が下がらないケース
生体反応にはそれぞれ意味があり、薬によって無理に血圧を下げようとすると体がそれに抵抗して更に交感神経優位にすることがあります。すると症状は更に悪化し、肩こり、不眠、便秘、手足の冷え、耳鳴りなどの症状が発生します。そこで、多くの場合、複数の降圧剤が投与されていますが、根本的な解決にはなりません。
2.降圧剤を投与すると血圧が下がるケース
血圧は低下してもストレスによる交感神経優位の状態が続く限り、薬の作用で、血流不足による末梢循環障害を起こす危険性は高まります。例えば、脳内出血は減少しても脳梗塞や老人性痴呆症の割合は上昇します。更に循環障害に過敏な目と腎臓に障害が現れたりします。
意外に多い副腎異常による高血圧
高血圧の多くは原因が不明な本態性高血圧と考えられ降圧剤が処方されます。しかし、副腎異常が原因の過剰ホルモンの分泌による高血圧には降圧剤は効きません。
副腎は様々なホルモンを分泌しますが、その中の1つ、アルドステロンというホルモンが過剰に分泌されて高血圧になる「原発性アルドステロン症(PA)」があります。従来は、このホルモン異常による患者は高血圧の人のせいぜい1%位とされてきましたが、近年の研究により10%前後にも上るとの考えが有力になっています。
腎臓の上に左右にある副腎が分泌するアルドステロンは、腎臓に働きかけてナトリウム(Na)を取り込み、カリウム(K)を捨てて血圧を上昇させる作用があります。ところが、副腎に異常があると必要以上に分泌されて高血圧(PA)になります。
PAは、比較的若い人にも発症し、脳出血などの合併症を引き起こしたり、心臓や血管にも作用して心筋梗塞などのリスクも高める事があります。
PAの場合は、腹腔鏡手術による副腎の摘出やアルドステロンの働きを抑制する投薬で完治が期待できます。複数の降圧剤を使っても効果のない高血圧の方は、PAの可能性も疑って、アルドステロンと血圧に関与する酵素レニンを測定する血液検査をおすすめします。
高血圧と塩分濃度を調整する糖鎖は続きで説明します。
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