高血圧と糖鎖の続きです。
高血圧と塩分の摂取
漢方では人の体質を「1.体が温かく元気のよい陽性体質 2.冷え性で元気のない陰性体質」に大きく二分します。陽性体質の人の病気は、体を冷やし体内の余剰物や老廃物を排泄することが、逆に陰性体質の人の病気は、体を温め、栄養を補給する事が重要となります。
陽性体質の高血圧は塩分に対する感受性が高い(黒人と同様)と考えられますので、塩分摂取を控えるのは当然の理です。しかし、陰性体質の高血圧(女性に多い)は体を温める事が必要ですので、体を温める作用のある塩分の摂取は有益であると考えられます。
高血圧と塩分濃度を調整する糖鎖
病気としての高血圧には塩分以外にも様々な要素が関係していますので、高血圧症の殆どが原因が不明な本態性高血圧と診断されています。しかし、塩分が血圧を上昇させる事は明白になっています。
塩分(化学的には塩化ナトリウムNaCl)を構成するナトリウムイオンも塩化イオンも体には必要不可欠なものですが、血圧の短期的な変化は濃度の観点からナトリウムイオンが重要となります。
体の調整機構は生物的・化学的な機能が円滑に働く様に物質の濃度を一定に保とうとしています。例えば、塩分の過剰摂取で血中のナトリウムイオン濃度が上昇すると腎臓で尿になるはずであった水分が再吸収され血液が薄められます。濃度をチェックする腎臓の糖鎖が濃度の調整を行っているのです。水分が再吸収されて血液の総量が増えると、血管壁にかかる圧力が大きくなって血圧が上昇します。
そこで、塩分を制限してこの調整機能を逆手にとって血液の総量を減らし、対症療法的に血圧を下げたり、尿の量を増やす利尿剤を用いたりしています。しかし、糖鎖の機能を無視したこれ等の方法は対症療法ですので、病気自体の根本的な療法にはならず、同時に血中の他の成分濃度が上昇する弊害がある事にも留意する必要があります。
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