免疫と糖鎖
血液の血球成分には赤血球(酸素と炭酸ガスを運ぶ機能)、白血球(体の内外を監視する免疫機能)及び血小板(止血機能)があります。白血球は数こそ少ないですが免疫力の中心的な役割を担う血球細胞です。なお、血液1mm^3当たり、赤血球は約500万個、白血球は約5000~8000個、血小板は約30万個です。
白血球の分類と進化
顆粒球とリンパ球はマクロファージを共通の先祖として分化しました。生物が単細胞時代の防衛は、マクロファージが異物を食べさらに老廃物を排泄していました。
その後、顆粒球はマクロファージの食べる能力を強化し、細菌など主としてサイズの大きい異物を処理する一方、リンパ球はマクロファージの接着能力を強化し、体内の異常細胞(例:癌細胞、マラリア感染細胞)を処理したり、食べるには小さすぎるウィルスなど主として小さい異物の処理を担当するようになりました。各白血球 の働きは下記の通りです。
- 顆粒球(免疫を成立させずに炎症を治す)
サイズの大きな異物(ex.真菌、細菌、細胞の死骸)を食べて炎症全体の半分以上を担当します。適量(白血球の約60%)ならば、元気のもとになります。しかし、過剰(70%超)になると、顆粒球が寿命(2~3日)を終えると活性酸素が大量に発生し、その強力な酸化力で粘膜を傷つけ細菌があれば化膿性炎症を、なければ組織破壊性炎症を引き起こします。
- リンパ球(免疫を成立して炎症を治す)
リンパ球は免疫そのもので、体内の異常細胞を攻撃したりウィルスなど小さな異物を「抗原」として認識し、抗原を無毒化する「抗体」を作って対応します。なおリンパ球が過剰(45%超)になると、アレルギー体質になり、微弱な刺激にも過剰に反応するようになり、カタル性炎症、フレグモネ性炎症、アレルギー性炎症を引き起こします。 - マクロファージ
免疫系における最初の司令役のみならず、サイズの大きな異物を食べて殺したり、細胞から排泄される老廃物を食べて清掃したり後片付け役も担っています。
白血球の連携と糖鎖
白血球の全てが情報伝達物質のサイトカインを出し、体外から侵入した抗原を察知し処理します。最も基本的なパターンでは、体内のどこかで抗原となる異物が侵入し、炎症を起こすとマクロファージはその異物のタイプを見定めて、それぞれ異なる種類のサイトカインを出し、他の白血球の顆粒球とリンパ球に指令を出します。細菌などの大きい抗原ならば、顆粒球に、ウィルスなどの小さい抗原ならば、リンパ球に伝えられます。マクロファージからの指令は、顆粒球とリンパ球それぞれの表面に存在する糖鎖がサイトカインを受け取ることで行われます。従って、免疫力が充分機能するためには、免疫細胞の糖鎖が健全であることが条件になります。
自律神経と糖鎖、免疫異常と糖鎖は続きで説明します。
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