うつ病と糖鎖
不快感、気分の落ち込み、腹立ちなどの原因が明らかで、更にそれらの原因がなくなっても精神的、身体的に回復できない場合にはうつ病が疑われます。うつ病になると強い悲しみと失望感のためにやる気がなくなり、あらゆることに興味を示さず、生きている喜びを感じられない状況になります。うつ病の本質は脳エネルギー不足、脳の興奮不足にあると考えられています。
場所によって働きが違う脳神経細胞
胃や肝臓であれば、例えば半分切削すると機能はほぼ半分になります。しかし、脳は場所によって全く働きの異なる神経細胞で構成されていますので、半分切削すると、脳機能が半分になるということにはなりません。
脳は大きく、大脳、小脳、脳幹の3つに分類され、脳幹から脊髄が延びています。
大脳は、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉に分けられ、大雑把に言えば前頭葉は行動。それ以外の部分は認知に関連しています。
大脳の深部には、運動の制御に関係する「大脳基底核」、睡眠・食欲・性行動などに関係する「視床下部」更に、 大脳に送る信号のフィルター役を果たす視床を含む「間脳」や情動に関わる「大脳辺縁系」があります。
小脳は、運動と学習の制御に関わっていますが、認知に関しても同様の働きがあるとの指摘もあります。
脳幹には中脳、橋梁、延髄があり、延髄はそのまま脊髄に繋がっています。なお、脳幹は生命維持や種の保存に関与しています。
神経細胞の情報ネットワーク
- 神経細胞の突起
神経細胞は情報を伝達するために長い突起を持っています。突起には、「情報の入力」に係わる多数の樹状突起と「情報の出力」に係わる1本の軸索があります。そして入力する樹状突起には他の細胞の軸索から入力を受ける多くの小さな突起(スパイン)があり、刺激によって変化します。
- 細胞内の情報伝達
神経細胞内での情報は電気信号で伝えられますが、その電気は、電子の移動ではなく、電荷を帯びたナトリウムやカリウムのイオンの移動によって流れます。ナトリウムやカリウムが膜内外を通過できるトンネル(イオンチャネル)があり、ここが開くと電位差が失われ(脱分極)そして元に戻るプロセスで興奮が発生し軸索の末端まで情報が流れます。
- 細胞間の情報伝達
軸索を伝わってきた信号は、次の神経細胞の樹状突起に伝えなければなりません。しかし、軸索の末端と樹状突起の繋ぎ目は直接繋がらず隙間があり電気信号は流れません。この繋ぎ目は「シナプス」と呼ばれています。そこで軸索末端の「シナプス小胞」から伝達物質(ex ドーパミン、セロトニン)が放出され、次の神経細胞の「シナプス」に情報が伝えられます。つまり、神経細胞は全て、電気信号で繋がっているのではなく、シナプスにおいて神経伝達物質という化学物質による化学信号が関与しています。
うつ病と糖鎖との関係は続きで説明します。
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