関節リウマチと糖鎖の続きです。
関節リウマチと糖鎖の関係
関節には
1.骨と骨を繋ぐ
2.骨格が動くようにする
3.姿勢をしっかり保つ
役割があります。
関節は関節包という膜で包まれ、その内側の表面は滑膜と呼ばれる滑り易い膜で覆われています。 この関節の滑膜は関節を滑らかに動かす潤滑剤としての関節液や関節に栄養分を供給する働きをします。
ところが、その滑膜が炎症を起こし、炎症性の情報伝達分子インターロイキン6(以下IL6と略す)を過剰に分泌する事が悲劇の始まりとなります。
大量に分泌されたIL6は滑膜の線維芽細胞の膜表面にある糖鎖と結合し血液内皮増殖因子(VEGF)を分泌させます。そこで、滑膜に必要のない多くの血管が作られそれらが酵素と栄養分を吸収して滑膜は成長・増殖します。
その後、滑膜からIL6を多く含む潤滑液が放出され、そこに血流に乗ってマクロファージがやってきて、滑膜の中に入り、繊維芽細胞の働きで破骨細胞へと変身し、骨を溶かし関節を破壊します。
この一連の流れを止めるために、2008年の春に抗体を患者に注射し、その抗体を患部の細胞膜表面などの糖鎖に結合させてIL6の結合を阻止する抗体医薬(アクテムラ)が市販されました。この方法によって、従来の抗炎症薬、抗リウマチ薬、ステロイド剤などでは果たせなかった関節リウマチの進行をほぼ完璧に食い止める事に成功しています。ただし、薬ですので感染症にかかった時に生じる発熱や急性期タンパク質の増加などの急性反応が起きにくくなる副作用(悪化するまで判りにくい)があります。
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