癌と糖鎖の続きです。
癌の転移に対する考え方
癌患者にとって、最大の不安は癌の転移ですが、その転移の説明には諸説あります。
- 物理的機械的メカニズム説(基本的な考え)
物理的な接触で癌が転移する説。
癌の転移先として多いのは、肝臓と肺である。
腹腔内の癌(例:胃癌、大腸癌)は、肝臓に転移しやすい。
それ以外の癌は、肺に転移しやすい。
肺癌は脳に転移しやすい。
乳癌、肺癌、前立腺癌は骨に転移しやすい。
肝臓と肺の2つの臓器は他の臓器よりもきわめて大きく、毛細血管も多い。
よって転移の多くは血流に関係していると考えられる。
この説では脳転移や骨転移は血流との関係は説明出来ない。
- 分子メカニズム説(免疫細胞の働きは無視)
鍵と鍵穴のように、癌細胞の持つ分子の鍵が血管の膜を開けて他の臓器に入り込む(シリアル・ルイス分子がE-セレクチンと接着する)という説。
血流は早いのに「1.遊離した癌細胞がどうして血管壁に付着するのか 2.付着後、血管壁を通過して他の臓器に侵入する能力は」と理解し難い部分がある。
- 転移遺伝子説(免疫細胞の働きは無視)
原発癌は発生した時には、すでに転移能力のあるものは転移し、転移能力のないものはその後も転移しにくいと考える説。
転移能力をもつ癌細胞は、その親細胞の転移能力を遺伝子で受け継いでいると考える。
- 転移治癒説(免疫細胞の重視)
癌転移はリンパ球活性がが高まったときに起こるという説。
癌転移はリンパ球の攻撃に耐えきれず散らばることが原因と考える。
癌と糖鎖は続きで説明します。